● 割引率
金銭には時間的価値があります。将来、受ける金銭を現在価値に割り引く時
の割合を、1年あたりの割合で示したものをいいます。将来、受け取る事の
出来る金銭は不確実です。リスクが高いほど、割引率は高くなります。
割引率は不動産投資に必要とされる収益率であり不動産投資の為の資金を融
資する、金融機関、投資家が要求する投資利回りです。貨幣価値の変動、イ
ンフレ率等の将来にわたるリスクを考慮しますと、借入金利に2%~3%加
算された割引率が求められます。
[検討事例]
総事業費に対して自己資金と借入金を調達して行う予定の事業計画がありま
す。借入金は元利均等返済とし返済年数はn年とします。借入金利、期待
利回り、それぞれに対応する投資額に対する求められる事業収益は割引率を
いくらとして検討する事になりますか。
借入金・比率
借入金・金利 (r1)
自己資金・期待利回り(r2)
借入金・返済年数(n)
借入金比率が100%の場合、資金調達は全て借入金にて行い、逆の0の場
合は全て自己資金にて事業を行うものとします。借入金返済年数が(0)も
しくは未入力の場合、借入金は金利のみの負担とします。割引率は資金調達
のコストを意味し、事業収益の良否を判断する基準となります。事業資金を
100%借入金で調達する場合は、借入金金利が割引率となり、事業資金を
借入金と自己資金とで調達する場合は、借入金と自己資金の期待利回りの加
重平均で割引率を算出します。借入金が元利均等返済の形をとる場合では
検討年度までに返済した元金の部分は蓄積した資産とみる事が出来ますので
キャッシュフローに考慮した割引率を計算します。
(1)借入金比率×借入年数n年の年賦償還率
(2)自己資金比率×自己資金期待利回り
(3)自己資金比率×借入年数n年の償還基金率(元金返済分)
償還基金率は自己資金期待利回りによる。
割引率=(1)+(2)-(3)
事業資金を全て借入金で行い将来にわたるリスクがなければ、割引率は借入
金利となります。自己資金に対する期待利回りは、当然、国債などの安全と
される金利以上のものを採用します。
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